
こんにちは。
尼崎で東洋医学南整体院の南です。
本日は、鍼経の本神第八について説明します。
本神第八ではおもに、心の世界、精神、感情などを扱っています。
肉体にまで影響がでていない。つまり、西洋医学的には、退行性変性など
具体的には出る前の、状態を扱っています。
鍼をする者の心の準備にも参考になるテーマです。
◆本神第八.
黄帝問于岐伯曰.
凡刺之法.必先本于神.血脉營氣精神.
此五藏之所藏也.至其淫泆離藏.則精失.魂魄飛揚.志意悗亂※.
智慮去身者.何因而然乎.天之罪與.人之過乎.何謂徳氣生精神魂魄心意志思智慮.請問其故.
黄帝岐伯に問うて曰はく.凡そ之を刺す法.必ず先に神を本とす.血脉營氣精神.
此れ五藏之藏する所なり也.其れ淫泆、離藏するに至って.則ち精を失す.魂魄飛揚し.
志意悗亂(バンラン)※し.
智慮身を去るは者.何に因って而して然るか乎.天の罪か與.人の過ちか乎.
何をか徳、氣は精、神、魂、魄、心、意、志、思、智、慮を生ずるかと謂うか.
請う其の故(ワケ)を問わん.
※淫泆(インイツ)淫=じわじわとしみこむこと。また度を超えて深入りすること。
泆=水が満ちて氾濫すること。みだらでほしいままにすること。
魂魄飛揚=魂は肝に蔵されています。魄は肺に蔵されています。この2つがバラバラに
なって活動すること。
悗=ぼんやり。亂=乱れる
陰虚の始まり。
岐伯荅曰.
天之在我者.徳也.地之在我者.氣也.徳流氣薄而生者也.故生之來.謂之精.
兩精相搏.謂之神.隨神往來者.謂之魂.並精而出入者.謂之魄.
所以任物者.謂之心.心有所憶.謂之意.意之所存.謂之志.
因志而存變.謂之思.因思而遠慕.謂之慮.因慮而處物.謂之智.
故智者之養生也.
岐伯荅えて曰はく.天の我在るとは者.徳也.地の我在るとは者.氣也.
徳流れ氣薄(セマ)って而して生ずる者なり也.故に生の來る.之を精と謂う.
兩精相い搏つ.之を神と謂う.神に隨って往來する者.之を魂と謂う.
精に並んで而して出入する者.之を魄と謂う.
物に任ずる所以の者.之を心と謂う.心には憶する所有り.
之を意と謂う.意の存する所.之を志と謂う.
志に因って而して變を存する.之を思と謂う.思に因って而して遠く慕う.
之を慮と謂う.慮に因って而して物に處す.之を智と謂う.
故に智者の生を養うや也.
※徳(トク)=真実を見る目。人間の常識などのような時代に因って変化する真実でなく、永遠に変わらない真実を見る目。
超意識。
氣=無意識。自分を物質世界に自分自身を表現したい。そのプロセスが薄くなる。物質の次元にどんどんと
囚われて、本来は無限の可能性があるが、それが薄まって制限される様子。
生となる。生がとうとう、稲光が地上に落ちるように落ちるそれが精。しかし、この精だけでは、
何も生じようがない、2つの精が一つになる。その時に循環が始まる。細胞分裂その流れが
拍動が相うつことが神。神が細胞内を拍動しながら上下にめぐることを魂といいます。
その細胞は栄養を必要とし、老廃物もだします。このことを魄といいます。
そうすると、脳などがでてきて、体を本能的に守ろうとする機能がそのわります。
体をコントロールする働きを心といいます。その心はずっと体を成長させるために
自然と考えづつけます。それを考え続けることを憶といいます。
その一連の流を意といいます。その意は1つの目標に定まります。これを
志といいます。その志は、目的が達成されたりすると変化します。
これを思といいます。頭に心がある状態をいいます。長く思う状態が
続くと慮となります。慮の結果として物質社会にまで今まで
考えてきてことを実際に行動します。これを智といいます。
必順四時而適寒暑.
和喜怒而安居處.節陰陽而調剛柔.如是則僻邪不至.長生久視.
是故怵惕思慮者.則傷神.神傷則恐懼.流淫而不止.
因悲哀動中者.竭絶而失生.喜樂者.神憚散而不藏.
愁憂者.氣閉塞而不行.盛怒者.迷惑而不治.
恐懼者.神蕩憚而不收.
必ず四時に順って而して寒暑適す.
喜怒和して而して居處(日常生活)に安んじ.陰陽を節して而して剛柔(性生活)を調う.
是の如く則ち僻邪至らず.長生久視す.
是の故に怵惕(ジュッテキ)思慮すとは者.則ち神を傷る.神を傷る則ち恐懼(キョウク)し流淫して而して止まず.
悲哀に因って中を動かすとは者.竭絶(ケッゼッ)す而して生を失す.
喜樂とは者.神憚散(タンサン)而して藏せず.
愁憂とは者.氣閉塞して而行まず.盛んい怒るとは者.迷惑して而して治せず.
恐懼(キョウク)と者.神蕩憚(トウタン)而して收まらず.
※四時とは四季のこと。
居所とは日常生活。
怵=恐れる。物事が気にかかる。惕=恐れる、何かおこりはしないかとビクビクする。(ジュッテキ)=
恐=心の中に穴が空いた様なうつろな感じ。懼=目をキョロキョロし、おどおどと不安な様子。(キョウク)
竭=つきる。かれる。絶(ケッゼッ)=たえる。
憚(タン)=薄く平らな「はたらき」である。こころが薄く広く鳴ることで
遠慮する。氣にして避けたり、控えたりする意。散(サン)=ちりちりになる。
心怵惕思慮.
則傷神.神傷則恐懼自失.破醸脱肉※.毛悴色夭.死于冬.
脾愁憂而不解.則傷意.意傷則悗亂.四肢不擧.毛悴色夭.死于春.
肝悲哀動中.則傷魂.魂傷則狂忘不精.不精則不正當人.陰縮而攣筋.兩脇骨不擧.毛悴色夭.死于秋.
肺喜樂無極.則傷魄.魄傷則狂.狂者意不存.人皮革焦.毛悴色夭.死于夏.
腎盛怒而不止.則傷志.志傷則喜忘其前言.腰脊不可以俛仰屈伸.毛悴色夭.死于季夏.
恐懼而不解.則傷精.精傷則骨痠痿厥.精時自下.是故五藏主藏精者也.不可傷.傷則失守而陰虚.陰虚則無氣.無氣則死矣.
是故用鍼者.察觀病人之態.以知精神魂魄之存亡得失之意.五者以傷.鍼不可以治之也.
心、怵惕思慮する則ち神を傷る.神を傷る則ち恐懼(キョウク)自失す.
䐃を破り肉を脱す※.毛は悴し、色は夭し.冬に死す.
脾愁憂して而して解せざる.則ち意を傷る.意傷る則ち悗亂(バンラン)す.
四肢擧がらず.毛は悴し色は夭して.春に死す.
肝悲哀して中を動する.則ち魂を傷る.魂傷る則ち狂忘にして精ならず.
精ならず則ち不正當に人の陰縮んで而して筋が攣(ひきつれ)るべし.
兩脇の骨擧がらず.毛は悴し色は夭して.秋に死す.
肺喜樂して極まり無き.則ち魄傷る.魄傷る則ち狂す.狂すとは者意人に存せず.
皮革焦げ.毛は悴し色は夭して.夏に死す.
腎盛んに怒って而して止まず.則ち志傷る.志傷る則ち喜く其の前言を忘れる.
腰脊以って俛仰(フギョウ)屈伸すべからず.毛は悴し色は夭して.季夏に死す.
恐懼して而して解せず.則ち精を傷る.精を傷る則ち骨痠(コツサン)し痿厥(イケツ)し.
精時に自ずから下る.是の故に五藏は精を藏することを主どるなり.傷るべからず.
傷る則ち守りを失して而して陰虚す.陰虚す則ち氣無し.氣無し則ち死す矣.
是の故に鍼を用いるもの者.察して病人之態を観る.以って精神魂魄之存亡得失之意を知る.
五は者以って傷る.鍼以って之を治すべからず也.
※陰虚の始まり=是の故に五藏は精を藏することを主どるなり.傷るべからず.
傷る則ち守りを失して而して陰虚す.陰虚す則ち氣無し.氣無し則ち死す矣.
五臓とは吸収。六腑とは、排泄。
肝藏血.血舍魂.肝氣虚則恐.實則怒.
脾藏營.營舍意.脾氣虚則四支不用.五藏不安.實則腹脹.經溲不利.
心藏脉.脉舍神.心氣虚則悲.實則笑不休.
肺藏氣.氣舍魄.肺氣虚則鼻塞不利.少氣.實則喘喝.胸盈仰息.
腎藏精.精舍志.腎氣虚則厥.實則脹.五藏不安.必審五藏之病形.
以知其氣之虚實.謹而調之也.
肝血を藏す.血は魂を舍す.肝氣虚す則ち恐れる.實則ち怒る.
脾營を蔵す.營は意を舍す.脾氣虚す則ち四支用いず.五藏安ぜず.實則ち腹脹す.經溲利せず.
心脉を蔵す.脉神を舍す.心氣虚す則ち悲しむ.實則ち笑休まらず.
肺気を藏す.氣魄舍す.肺氣虚す則ち鼻塞利せず.少氣.實則ち喘喝(ぜんかつ).胸盈(み)ち仰いで息す.
腎精を蔵す.精は志を舎す.腎氣虚す則厥す.實則ち脹す.五藏安ならず.必ず審に五藏之病形をし.
以って知其の氣之虚實を知る.謹んで而して之を調えるなり也.
※喘=あえぐ、息をきらす 喝=かすれ声。はっはっ
胸盈(エイ) みちる
厥(ケツ)=寒厥は足の冷え。一般的に気ことに腎気の逆上です。
腹部の奔豚、心悸亢進、咽喉不利、脳血管障害。
まとめ
本日は 鍼経の「鍼経の本神第八」について説明してきました。
本神第八は想いに感情について説明されています。
感情が病を引き起こすのは天地人の法則に適していない生活や
考え方をし赴くままにいきたためです。
其の矛盾を教えるために様々な感情が発病する前に出てきます。
喜怒哀楽などです。其の時にすでに五常から離れています。
仁、義、信、礼、智などが、自然な思いとして発言している時は
病になることはありません。