こんにちは。
尼崎で東洋医学南整体院をやっている南です。
本日は、『血絡論篇 第三十九』についてご紹介していきたいと思います。
なぜ、この篇をするのかというと、当院では刺絡治療を行っております。
主に井穴刺絡を中心に行っていますが、改めて理解を深めると
言う意味で、鍼灸の原点である霊枢『血絡論篇 第三十九』学んで
いきたいと思います。
井穴刺絡は様々な病気にや症状に対して即効性があります。
効果のほどには本当に驚かされます。
刺絡にはもっと多くの可能性があり、さらに理解を深めると
ともに、新たなる可能性を探っていければと考えとおります。
霊枢『血絡論篇 第三十九』
黄帝曰.願聞其奇邪而不在經者.岐伯曰.血絡是也.
黄帝曰く、願わくばその奇邪にして、経に在らざる者を聞かん。
岐伯曰く、血絡これなり。
黄帝曰.刺血絡而仆者.何也.
黄帝曰く、血絡を刺して、仆れるものとは、何ぞや。
血出而射者.何也.血少黒而濁者.何也.
血を出して射する者とは、何ぞや。血少し黒くて濁る者は、何ぞや。
射するとは、血が吹き出ることです。
黒く濁る血が出る場合は、交感神経が過剰に働いている状態です。
逆に水が多くあるような血が出る場合は、副交感神経が過剰に働いている状態です。
交感神経が過剰に働いている人は痛みに強く、血気さかんな人が多いです。
スポーツ選手に多かったりします。
この人は短命に終わることがあったりします。
ガンになりやすく、無理がきいたりします。
逆に、副交感神経が過剰な人は、神経質なところがあります。
知的なことが得意だったりします。
免疫機能が高く、ガンになりにくいですが、アレルギーになりやすかったりします。
血出清而半爲汁者.何也.發鍼而腫者.何也.
血を出し清くて半ば汁と為る者とは何ぞや。針を発して腫れる者とは、何ぞや。
副交感神経が過剰な人です。鍼を発して腫れるのは内出血したからです。
血出若多若少.而面色蒼蒼者.何也.
血を出し、若しくは多く若しくは少なくて、面の色蒼蒼の者とは何ぞや。
貧血気味の人が多いです。なので女性が多かったりします。
血を見ることが苦手な人が顔色が青ざめ安いです。
發鍼而面色不變.而煩悗者.何也.
鍼を発して面色変わらず、而して、煩悗する者とは、何ぞや。
出血させすぎた時になります。
なので、貧血気味の人に刺絡をする時に注意が必要です。
実際になれば、2・3日無理せず、ゆっくりすれば、回復します。
焦ることはありません。普通に日常生活は遅れます。
激しい運動は避けましょう。お風呂の時に少し注意ふらつくときがあります。
多出血而不動搖者.何也.願聞其故.
多く出血して動揺せざる者とは、何ぞや。願わくばその故を聞かん。
怪我をすることに慣れていると人です。
なので、交感神経が過剰に働いている人です。
一般的に体が丈夫と思われている人です。
岐伯曰.脉氣盛而血虚者.刺之則脱氣.脱氣則仆.
岐伯曰く、脉気盛んにして血虚するものは、之を刺せば、則ち気を脱す。気を脱すれば則ち仆れる。
若い女性で貧血気味の人や、年齢が全盛期を過ぎて老に入った男性だったりします。
若い女性の場合の脉気盛んは若いからです。
男性の場合の脉気盛んは緊張しいるからです。
この両者に共通するのは神経が細かい、血を見ることが苦手です。
自分の体から出血をしていることを見るとフッとなる人です。
血氣倶盛.而陰氣多者.其血滑.刺之則射.
血気倶に盛んにして陰気多い者は、その血滑らかなり。之を刺せば、則ち射す。
非常に若い人が倶に盛んです。
後は、最近に奇邪を受けた人です。
古くなれば、血気は盛んではなくなります。
射ということばから、血が吹き出ることがわかります。
なので、熱がります。血行がいい状態です。
例えると、ゆっくりお風呂に入った後は、
血気盛んな状態です。
なので、高熱があるかもしません。
あるいは、急性の捻挫や打撲、骨折などがあったりするかもしれません。
陽氣畜積.久留而不寫者.其血黒以濁.故不能射.
陽気蓄積し、久しく留まって写さる者は、その血黒く濁するを以て、故に射すること能わざるなり。
この状態が急性から慢性の病になったことを判断する材料になります。
そして、交感神経が過剰状態にです。酸性体質です。
人間弱アルカリ性に方が健康にです。
食べ物を注意する必要があるかもしれません。
周りに環境が其の人を緊張状態にしているかもしれません。
この状態を放っておくと、無理をしていると大きな病気になります。
例えば、脳卒中や、ガンなどです。
新飮而液滲于絡.而未合和于血也.故血出而汁別焉.
新たに飲んで液絡に滲む。而して未だ血合和せざるなり。故に血い出て汁別れなり。
副交感神経が過剰に働いている状態です。
今飲んだばかりなので、脾胃の働きが落ちているのかもしれません。
でもゆっくりしていれば、数時間でよくなります。
これだけだと問題ありません。
しかし、なにか症状があってこの状態だと治療が必要です。
症状があるかないかで、治療スべきかどうか判断できます。
この状態で治療院に来ているので、治療をしたほうがいいのでしょう。
其不新飮者.身中有水.久則爲腫.
その新たに飲まざる者は、身中に久しく水有り。則ち腫と為す。
水分代謝が悪い状態です。水を飲む癖を付ける必要があります。
オシッコをしなければならないんこで、水を控えていますという人がなります。
あと、全盛期をすぎ、中年太りになりやすい人です。
新陳代謝が落ちています。
お灸で体内に熱を入れて、新陳代謝を上げる必要があります。
なので、体は冷たいし、体が最近重かったりします。
新陳代謝を上げてから、刺絡をすると効果がテキメンです。
そこまで、現代では行っている時間はないのかもしれません。
体内の新陳代謝を上げるお灸をして3週間はかけたほうがいいです。
この答えは、臨床上の話です。
強くお灸をすれば、一週間で住みますが、お灸の熱さに耐えられる人は少ないです。
なので、少ないお灸で回数で積み上げて行く必要があります。
新陳代謝を上げてから、刺絡をすると効果がすぐに長くでます。
新陳代謝が悪いのに、刺絡をしても血はなかなかでないし、痛いし、
効果も出にくいという悪条件での治療になります。
陰氣積于陽.其氣因于絡.故刺之血未出.而氣先行.故腫.
陰気陽に積もり、その気絡に因る。故に之を刺す血未だ出ず。而して気先に行く。故に腫れる。
これは内出血です。普通に針をするとなることがあります。
血管からの止血作用が落ちています。
血管からの出血をさせないようるする作用のとを統血作用といいます。
統血作用を高めるには脾の働きを高める必要があります。
原因は2つ考えられます。
鍼をする人が下手だったのか、患者自身の脾臓の働き弱っていたのかのどちらかです。
東洋医学でいう脾臓の働きを高めるには、脾臓の陽気を高める必要があります。
陰陽之氣.其新相得而未和合.因而寫之.
陰陽の気、其の新たに相得る而して、未だ和合せず。因って之を写す。
則陰陽倶脱.表裏相離.故脱色而蒼蒼然
則ち陰陽倶に脱す。表裏相離れる。故に色を脱して蒼蒼然るなり。
顔色から血色がなくなるのは、神経が繊細な人が多く、血を見ることが苦手な人が多いです。
あるいは、貧血気味の女性の方だったりします。
刺之血出多.色不變而煩悗者.刺絡而虚經.
之を刺し血多く出る。色変わらず而して煩悗する者は刺絡して経を虚す。
体力以上に出血しすぎたために起きることがあります。
過度の運動を2・3日避ければ大丈夫です。
*思いもつかない重症な病気がある場合は除きます。
後、血液が止まらない薬を飲んでいる人に注意しましょう。
虚經之屬于陰者.陰脱.故煩悶.
経を虚し之陰に属す者とは、陰を脱す。故に煩悶す。
貧血気味の血事態が少ない人はです。
陰陽相得.而合爲痺者.此爲内溢于經.
陰陽相得る。而して合い痺と為すものとは、此れ内に経溢れると為す。
外注于絡.如是者.陰陽倶有餘.雖多出血.而弗能虚也.
外は絡に注ぐ。核の如きものは、陰陽倶に有余なり。多く出血しても虚すること能わざるなり。
黄帝曰.相之奈何.
黄帝曰く、之を相るにいかん。
岐伯曰.血脉者盛.堅横以赤.上下無常處.
岐伯曰く。血脉は盛ん。竪横以て赤い。上下して常に処なし。
この血絡は静脈瘤みたいなものです。
血管が浮き出て見えるものです。押さえれば、一瞬なくなったりしますが、
また血絡がでてきます。急性なものが多いです。
小者如鍼.大者如筯.則而寫之.萬全也.
小なるものは鍼の如く、大なるものは筋のごとし。則ち之を写す。万全なり。
この血絡が慢性病に原因と深く関わっていることがあります。
この血絡をしっかりと処理することで、驚くような効果を発揮します。
今のところ、病気の関わる血絡なのか、もとからあるものか、病とそんなにも関係がないものかを
見分ける方法がまだ確立していないのが現状です。
なので、個人的な経験則で判断するしかないです。
ヒントとしては、症状にあるところと、そこに関わる経絡の上に血絡があれば、
病に関わっている可能性が高くなります。
故無失數矣.失數而反.各如其度.
故に数を失すること無し。数を失して反って、各々其の度の如くす。
黄帝曰.鍼入而肉著者.何也.
黄帝曰く、鍼を入れて肉著くものとは、何ぞや。
岐伯曰.熱氣因于鍼.則鍼熱.熱則肉著于鍼.故堅焉.
岐伯曰く、熱気鍼に因る。則ち鍼熱す。熱則ち肉鍼に著く。故に堅きなり。
まとめ
本日は、霊枢の『血絡論 第三十九』について説明しました。
臨床上に照らし合わせて書いてみました。
何年も刺絡をすれば、経験として理解できますが、進歩させにくい鍼灸術の一つです。
これから、刺絡をしようと思っている人の参考になれば嬉しく思います。
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