こんにちは。
尼崎で東洋医学南整体院の南です。
鍼経の壽夭剛柔第六です。
この第六は視診と基本的な陰陽です。
◆壽夭剛柔第六.
黄帝問於少師曰.
余聞人之生也.有剛有柔.有弱有強.有短有長.有陰有陽.願聞其方.
少師荅曰.陰中有陰.陽中有陽.審知陰陽.刺之有方.得病所始.刺之有理.謹度病端.
與時相應.内合于五藏六府.外合于筋骨皮膚.是故内有陰陽.外亦有陰陽.在内者.五藏爲陰.
六府爲陽.在外者.筋骨爲陰.皮膚爲陽.故曰.病在陰之陰者.刺陰之滎輸.
病在陽之陽者.刺陽之合.病在陽之.陰者.刺陰之經.病在陰之陽者.刺絡脉.
故曰.病在陽者.命曰風.病在陰者.命曰痺.陰陽倶病※.命曰風痺.
病有形而不痛者.陽之類也.無形而痛者.陰之類也.無形而痛者.其陽完而陰傷之也.
急治其陰.無攻其陽.有形而不痛者.其陰完而陽傷之也.急治其陽.無攻其陰.
陰陽倶動.乍有形.乍無形.加以煩心.命曰陰勝其陽.此謂不表不裏.其形不久.
黄帝問う少師曰はく.余は人之生を聞かん也.
剛有り柔有り.弱有り強有り.短有り長有り.陰有り陽有り.願わくは其の方を聞かん.
少師荅えて曰はく.陰中に陰有り.陽中に陽有り.審に陰陽を知る.之を刺すは方有り.
病の始まる所得る.之を刺す理有り.謹んで病の端と.與する時の相應を度(はか)り.
内は五藏六府に合し.外は筋骨皮膚に合す.是の故に内に陰陽有り.外に亦た陰陽有り.
内に在るは者.五藏を陰と為す.
内は五臓六腑 外は筋骨皮膚
六府を陽と為す.外在るは者.筋骨を陰と為す.皮膚を陽と為す.故に曰はく.
病陰之陰に在りとは者.陰之滎輸を刺す
陰の陰とは五臓でその栄・輸を刺すことになります。この病位のあるところであり
寫法になります。
病陽之陽在るとは者.陽之合を刺す.病陽之陰在りとは者.
陰之經を刺す.病陰之陽と在るは者.絡脉を刺す.
陽の陽とは皮膚に病があると。其の合を刺す。陽の陰とは筋骨に病があり。
陰の経をさします。六腑に病がある場合は絡脈を刺す。絡脈は絡穴と関係します。
故に曰はく.病陽に在るとは者.命づけて風と曰う.病陰に在るとは者.命づけて痺と曰う.
陰陽倶に病命づけて風痺と曰う.
陽に病とは、皮膚筋骨にあるもの。風という。陰に病あるとは、五臓六腑に。痺という。
病形有り而して痛まざるは者.陽之類なり也.形無くして而して痛むものは者.陰之類なり也.
形無く而して痛むものは者.其の陽を完くして而して陰之を傷るなり也.
急に其の陰を治せ.其の陽を攻めること無し.形有りて而して痛まざるは者.
其の陰を完くして而して陽之を傷るなり也.急に其の陽を治せ.其の陰を攻めることなし.
陰陽倶に動ず.乍ち形有り.乍ち形無し.煩心以って加う.命づけて陰其の陽に勝つと曰う.
此れ不表不裏と謂う.其の形久しからず.
※方(ホウ)=方向、筋道、方法。
黄帝問於伯高曰.
余聞形氣病之先後.外内之應.奈何.伯高荅曰.風寒傷形.憂恐忿怒傷氣.
氣傷藏.乃病藏.寒傷形.乃應形.風傷筋脉.筋脉乃應.此形氣外内之相應也.
黄帝曰.刺之奈何.伯高荅曰.病九日者.三刺而已.病一月者.十刺而已.
多少遠近.以此衰之.久痺不去身者.視其血絡.盡出其血.
黄帝曰.外内之病.難易之治.奈何.伯高荅曰.
形先病而未入藏者.刺之半其日.藏先病而形乃應者.刺之倍其日.
此外内難易之應也※.
黄帝伯高に問うて曰はく.余形氣病之先後を聞かん.外内の應.いかん.
伯高荅えて曰はく.風寒形を傷る.憂恐忿怒し気を傷る.氣藏を傷る.乃ち藏を病む.寒形を傷る.
乃ち形應ず.風筋脉を傷る.筋脉乃ち應ず.此れ形氣外内の相應なり也.
黄帝曰はく.之を刺すいかん.伯高荅えて曰はく.病九日とは者.
三刺而して已む.病一月と者.十刺して而して已む.
多少遠近.此れを以って之を衰えしむ.久痺して身を去らずとは者.
其の血絡を視て.盡く其の血を出す.
黄帝曰はく.外内の病.難易の治は.いかん.伯高荅えて曰はく.
形先に病む而して未に藏に入らざるもの者.之を刺其の日半にす.
藏先に病みて而して形乃ち應ずるもの者.之を刺す其の日を倍にす.
此れ外内難易の應なり也※.
黄帝問於伯高曰.
余聞形有緩急.氣有盛衰.骨有大小.肉有堅脆.皮有厚薄.其以立壽夭.奈何.
伯高荅曰.形與氣相任則壽※.不相任則夭.皮與肉相果則壽.不相果則夭.
血氣經絡.勝形則壽.不勝形則夭.黄帝曰.何謂形之緩急.
伯高荅曰.形充而皮膚緩者則壽.形充而皮膚急者則夭.
形充而脉堅大者.順也.形充而脉小以弱者.氣衰.衰則危矣.
若形充而顴不起者.骨小.骨小而夭矣形充而大肉䐃堅而有分者.肉堅.肉堅則壽矣.
形充而大肉無分理不堅者.肉脆.肉脆則夭矣.此天之生命.所以立形定氣.而視壽夭者.
必明乎此.立形定氣.而後以臨病人.決死生.
黄帝伯高に問うて曰はく.
余聞く形に緩急有り.氣に盛衰有り.骨に大小有り.肉に堅脆有り.皮に厚薄有り.
其の以って壽夭(ジュヨウ)を立てるには.いかん.
伯高荅えて曰はく.形與する氣は相い任ずる則ち壽※.相い任ぜざる則ち夭す.
皮與する肉相い果なる則ち壽.相い果ならざる則夭す.
血氣經絡.形に勝つ則壽.形に勝たず則夭す.黄帝曰はく.何をか形の緩急と謂う.
伯高荅えて曰はく.形充ちる而して皮膚緩む者則ち壽.
形充して而して皮膚急なるは者則ち夭す.
形充して而して脉堅大なるは者.順なり也.形充して而して脉小以って弱とは者.
氣衰う.衰う則ち危し矣.
若形充して而して顴(骨)起きざるもの者.骨小.骨小にして而して夭す矣
形充ちて而して大肉胭(キン)堅して而して分有るは者.肉堅し.肉堅し則ち壽矣.
形充ちて而して大肉無分理堅からずとは者.肉脆し.肉脆し則ち夭す矣.此れ天之生命にして.
立形を立て気を定め.而して視壽夭を視る所以の者なり.
必ず此の立形氣を定めるを明らかにし.而して後以って病人に臨む.死生を決す.
※顴(骨)=ほほの骨
胭堅 。形充而大肉䐃堅而有分
黄帝曰.余聞壽夭無以度之.
伯高荅曰.牆基卑.高不及其地者.不滿三十而死.
其有因加疾者.不及二十而死也.黄帝曰.形氣之相勝.以立壽夭.奈何.
伯高荅曰.平人而氣勝形者壽.病而形肉脱.氣勝形者死.形勝氣者危矣.
黄帝曰.余聞刺有三變.何謂三變.
伯高荅曰.有刺營者.有刺衞者.有刺寒痺之留經者.
黄帝曰.刺三變者奈何.伯高荅曰.刺營者出血.刺衞者出氣.刺寒痺者内熱.
黄帝曰.營衞寒痺之爲病奈何.伯高荅曰.營之生病也.寒熱少氣.血上下行.
衞之生病也.氣痛時來時去.怫愾賁響.風寒客于腸胃之中.
寒痺之爲病也.留而不去.時痛而皮不仁.黄帝曰.刺寒痺内熱奈何.
伯高荅曰.刺布衣者.以火焠之.刺大人者.以藥熨之.
黄帝曰はく.余壽夭を聞くも以って之を度る無し.
伯高荅えて曰はく.牆基卑く.高さ其の地に及ばざるは者.三十を満たず而して死す.
其の因有りて疾を加うるものは者.二十に及ばず而して死すなり也.
黄帝曰はく.形氣之相勝を以って壽夭を立つるには.いかん.
伯高荅えて曰はく.平人而して氣形に勝つものは者壽.
病み而して形肉脱し.氣形に勝つものは者死す.形氣に勝つは者危うし矣.
黄帝曰はく.余三變有るを刺す聞く.何をか三變と謂う.
伯高荅えて曰はく.營を刺すこと有りとは者.衞を刺すこと有り者.
寒痺之留經を刺すこと有りとは者.
黄帝曰はく.三變を刺すこと者いかん.伯高荅えて曰はく.
營を刺すとは者血出す.衞を刺すとは者氣を出す.
寒痺を刺すとは者内熱す.
黄帝曰はく.營衞寒痺之病と爲すいかん.伯高荅えて曰はく.
營之病を生ずるや也.寒熱少氣し.血は上下に行く.
衞之病を生ずる也.氣の痛む時に來たり時に去り.
怫愾賁響(フッキフンキョウ)す.風寒腸胃之中に客す.
寒痺之病と為す也.留まりて而して去らず.
時に痛みて而して皮不仁なり.黄帝はく曰.刺寒痺刺し内熱すはいかん.
伯高荅えて曰はく.布衣を刺すとは者.火を以って之を焠く.
大人を刺すとは者.藥を以って之を熨す.
※牆基(ショクキ)=牆は横に長い「かきね」である。ここでは耳を意味する。基は土台。耳の付け根。
怫愾賁響(フッキフンキョウ)=怫と愾はウツ極まって外に発すること。
怫とはぷっと怒りだすこと。愾は気満である。息をはずませて怒ること。
賁吹き出る。吹き出すこと。腸鳴。響=響く。
不仁=知覚障害。
黄帝曰.藥熨奈何.
伯高荅曰.用淳酒二十斤.蜀椒一升.乾姜一斤.桂心一斤.凡四種.皆寐咀.漬酒中.
用綿絮一斤.細白布四丈.并内酒中.置酒馬矢熅中.蓋封塗勿使泄.
五日五夜.出布綿絮.曝乾之.乾復漬.以盡其汁.毎漬必晬其日.乃出乾.
乾并用滓與綿絮.複布爲複巾.長六七尺.爲六七巾.
則用之.生桑炭炙巾.以熨寒痺所刺之處.令熱入至于病所.寒復炙巾以熨之.三十遍而止.
汗出.以巾拭身.亦三十遍而止.起歩内中.無見風.毎刺必熨.如此病已矣.此所謂内熱也.
黄帝曰はく.藥熨(ヤクイ)はいかん.
伯高荅えて曰はく.淳酒(ジュンシュ)二十斤.蜀椒(ショクショウ)一升.乾姜(カンキョウ)一斤.
桂心(ケイシン)一斤用う.凡そ四種.皆寐咀(ビショ).酒の中に漬く.
綿絮(メンジョ)一斤.細白布四丈を用いて.并(アワ)せて酒の中に内れ.
酒を馬矢(バシ)の熅(ウン)の中に置く.蓋封して塗り泄さしむること勿れ.
五日五夜.布綿絮出す.曝(サラ)して之を乾かす.乾して復た漬ける.
以って其の汁を尽くす.漬ける毎に必ず其の日を晬(お)え.乃ち出して乾かす.
乾けば滓與する綿絮を并せて用い.布を複ねて複巾(フクキン)と為す.
長さ六七尺.六七の巾と為す.
則ち之を用いる.生桑の炭をもって巾を炙り.以って寒痺の刺す所之處を熨(イ)し.
熱を入れて病所に至らしむ.寒復た巾を炙り以って之を熨し.三十遍にして而して止む.
汗出す.巾以って身を拭い.亦た三十遍にして而して止む.起って内中を歩く.
風を見ること無し.刺す毎に必す熨す.此れの如く病已む矣.此れ所謂内を熱するなり也
※馬矢(バシ)=馬糞
綿絮(メンジョ)=真綿一斤。
熅(ウン)=埋火うすみび=灰の中にうめた炭火。、「おき」である。
晬(サイ)。周である。満一周をいう。丸一日。
㕮咀(フショ)=かむこと。=寐咀(ビショ)=寝て噛む
まとめ
本日は、鍼経の壽夭剛柔第六について説明してきました。
鍼経でもっとも大切なものは第一から第九までです。
ここに鍼灸の要点がまとめられています。
第一から第三まで五行について
第四は陰経と藏について
第五は陽経について
第六は視診と基本的な陰陽についてでした。
第七は鍼の運用の仕方にです。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント