こんにちは。
尼崎で東洋医学南整体院をやっている南です。
本日は、鍼経の官鍼第七」です。
この第七は鍼の運用の仕方についてです。
たんたんと鍼灸の聖典について説明しています。
それでは始めていきましょう。
◆官鍼第七.
凡刺之要.官鍼最妙.
九鍼之宜.各有所爲.長短大小.各有所施也.不得其用.病弗能移.
疾淺鍼深.内傷良肉※.皮膚爲癰.病深鍼淺.病氣不寫.支爲大膿.
病小鍼大.氣寫大甚.疾必爲害.病大鍼小.氣不泄瀉.亦復爲敗.
失鍼之宜.大者寫.小者不移.已言其過.請言其所施.
病在皮膚.無常處者.取以鑱鍼于病所.膚白勿取.
病在分肉間.取以員鍼于病所.病在經絡痼痺者.取以鋒鍼.
病在脉氣少.當補之者.取之鍉鍼于井滎分輸.
病爲大膿者.取以鈹鍼.病痺氣暴發者.取以員利鍼.
病痺氣痛而不去者.取以毫鍼.病在中者.取以長鍼.
病水腫不能通關節者.取以大鍼.
病在五藏固居者.取以鋒鍼.寫于井滎分輸.取以四時.
凡そ之を刺す要.官鍼最妙なり.
九鍼の宜き.各々爲す所有り.長短大小.各々施す所有るなり也.其の用を得ず.
病移すこと能わず.弗(ふつ)=不
疾の淺い鍼深い.内れて傷良肉を傷る※.皮膚を癰と為す.病深く鍼淺い.病氣寫せず.
支(反って)大膿と為す.
病小で鍼大.氣を寫すこと大いに甚だしく.疾必ず害と為す.病大にして鍼小.氣は泄瀉せず.
亦た復た敗と為す.鍼之宜きを失えば.大は者寫し.小は者移せず.已に其の過を言う.
請う言其の施す所を言わん.
病皮膚に在り.常無き處とは者.鑱鍼を以って病處を取る.膚の白きを取ること勿れ.
病分肉間に在り.員鍼を以って病所を取る.病經絡在りて痼痺するものは者.鋒鍼を以って取る.
病脉に在り氣少し.當に之を補うとは者.之鍉鍼于井滎分輸を取る.
病大膿と為すとは者.鈹鍼を以って取る.病痺氣暴に發すとは者.員利鍼以って取る.
病痺氣に痛む而して去らずとは者.毫鍼以って取る.病中に在るとは者.
長鍼以って取る.
病水腫關節を通ること能わずとは者.大鍼を以って取る.
病五藏固居在るとは者.鋒鍼を以って取る.井滎分輸を寫す.四時以って取る.
※官(カン)=つかさ。分担する任務、仕事を任せること。鍼を任用すること。
弗(ふつ)ず。
支は(反)の間違い爲大膿.甲乙経や太素にあり。
凡刺有九.以應九變※.
一曰輸刺.輸刺者.刺諸經滎輸藏腧也.
二曰遠道刺.遠道刺者.病在上.取之下.刺府腧也.
三曰經刺.經刺者.刺大經之結絡經分也.
四曰絡刺.絡刺者.刺小絡之血脉也.
五曰分刺.分刺者.刺分肉之間也.
六曰大寫刺.大寫刺者.刺大膿以鈹鍼也.
七曰毛刺.毛刺者.刺浮痺皮膚也.
八曰巨刺.巨刺者.左取右.右取左.九曰焠刺.焠刺者.刺燔鍼.則取痺也.
凡そ刺すに九有り.以って九變に應ず※.
一曰はく輸刺.輸刺とは者.諸經滎輸藏腧を刺すなり也.
二曰はく遠道刺.遠道刺とは者.病上に在り.之を下に取る.
府腧を刺すなり也.
三曰はく經を刺す.經刺とは者.大經之結絡經分を刺すなり也.
四曰はく絡刺.絡刺とは者.刺小絡之血脉を刺すなり也.
五曰はく分刺.分刺とは者.刺分肉之間を刺すなり也.
六曰はく大寫刺(ダイシャシ).大寫刺とは者.大膿鈹鍼を以って刺す也.
七曰はく毛刺(モウシ).毛刺とは者.浮痺を皮膚に刺すなり也.
八曰はく巨刺(コシ).巨刺とは者.左を右で取る.右を左で取る.
九曰はく焠刺(サイシ).焠刺とは者.燔鍼を刺して.則ち痺を取るなり也.
※大經とは十二経。之結絡經分。
結絡とはその結絡とは脈結ぼれて血和せず、
之を決すれば乃ち行く。静脈瘤あるいは毛細血管拡張。
凡刺有十二節.以應十二經.
一曰偶刺.偶刺者.以手直心若背.直痛所.一刺前.一刺後.以治心痺.刺此者傍鍼之也.
二曰報刺.報刺者.刺痛無常處也.上下行者.直内無拔鍼.以左手隨病所按之.乃出鍼.復刺之也.
三曰恢刺.恢刺者※.直刺傍之.擧之前後.恢筋急.以治筋痺也.
四曰齊刺.齊刺者.直入一.傍入二.以治寒氣小深者.或曰三刺.三刺者.治痺氣小深者也.
五曰揚刺.揚刺者.正内一.傍内四.而浮之.以治寒氣之博大者也.
六曰直鍼刺.直鍼刺者.引皮乃刺之.以治寒氣之淺者也.
七曰輸刺.輸刺者.直入直出.稀發鍼而深之.以治氣盛而熱者也.
八曰短刺.短刺者.刺骨痺.稍搖而深之.致鍼骨所.以上下摩骨也.
九曰浮刺.浮刺者.傍入而浮之.以治肌急而寒者也.
十曰陰刺.陰刺者.左右率刺之.以治寒厥.中寒厥.足踝後少陰也.
十一曰傍鍼刺.傍鍼刺者.直刺傍刺各一.以治留痺久居者也.
十二曰賛刺.賛刺者.直入直出.數發鍼而淺之出血.是謂治癰腫也.
凡そ十二節有るを刺す.以って十二經に應ず.
一曰はく偶刺.偶刺とは者.手を以って心若しくは背に直て.痛む所に直て.一前を刺す.
一後ろを刺す.以って治心痺を治す.此れ刺すとは者傍に之に鍼するなり也.
二曰はく報刺.報刺とは者.痛みの常無き處を刺すなり也.上下行くとは者.
直に内れて鍼を抜くこと無し.左手を以って病所に隨って之を按ず.乃ち鍼出す.
復た之を刺すなり也.
三曰はく恢刺(カイシ).恢刺とは者※.直に刺し之を傍し.之を擧げて前後し、
筋急を恢し.以って筋痺を治すなり也.
四曰はく齊刺(セイシ).齊刺とは者.直に入れること一.傍に入れること二.
以って寒氣小さく深きを治すとは者.或いは曰はく三刺.三刺とは者.
痺氣小さく深きを治す者なり也.
五曰はく揚刺(ヨウシ).揚刺とは者.正しく内れること一.傍に内れること四.
而して之を浮かし.以って寒氣之博く大の者を治すなり也.
六曰はく直鍼刺.直鍼刺とは者.皮引いて乃ち之を刺す.
以って寒氣之淺き者を治すなり也.
七曰はく輸刺.輸刺とは者.直に入れて直に出す.
稀に鍼を發し而して之を深くす.以って氣の盛ん而して熱ある者を治す也.
八曰はく短刺.短刺とは者.骨痺を刺す.稍(やや)搖るがす而して之を深くし.
鍼骨所に到る.以って上下に骨を摩する也.
九曰はく浮刺.浮刺とは者.傍に入れて而して之を浮かす.
以って治肌急(ひきつ)れて而して寒のを治す者也.
十曰陰刺.陰刺とは者.左右を率に之を刺す.以って寒厥を治す.中寒の厥は.
足踝の後の少陰なり也.
十一曰傍鍼刺.傍鍼刺とは者.直刺、傍刺各々一.
以って留痺の久しく居る者を治すなり也.
十二曰賛刺.賛刺とは者.直入直出.數しば鍼を發す而して之を淺く血を出す.
是れ癰腫を治すると謂うなり也.
※偶刺とは、心痺、など五臓の病気に対して有効。前後に
報刺とは、痛みを追って行く刺す法。上下にす。
恢刺とはとおおきい。広げる。
傍らとは横に。
率にとは=一緒に処置する。
脉之所居.深不見者.刺之微内鍼而久留之.以致其空脉氣也.
脉淺者.勿刺.按絶其脉.乃刺之.無令精出.獨出其邪氣耳.
所謂三刺則穀氣出者.先淺刺絶皮.以出陽邪.
再刺則陰邪出者.少益深.絶皮致肌肉.未入分肉間也.
已入分肉之間.則穀氣出.
故刺法曰.始刺淺之.以逐邪氣而來血氣.
後刺深之.以致陰氣之邪.
最後刺極深之.以下穀氣.此之謂也.
故用鍼者.不知年之所加.氣之盛衰.虚實之所起.不可以爲工也.
脉之居る所.深く見えざるは者.之を刺し微かに鍼を内れて而して久しく之を留む.
以って其の空に脉氣を致すなり也.
脉淺きは者.刺すこと勿れ.按じて其の脉を絶す.乃ち之を刺す.精出さしめること無し.
獨り其の邪氣を出すのみ耳.
所謂三刺す則ち穀氣出すとは者.先に淺く刺して皮を絶ち.以って陽邪を出す.
再刺す則ち陰邪を出すとは者.少し深さを益し.皮を絶ち肌肉に到る.未だ分肉の間に入れずなり也.
已に分肉之間に入る.則ち穀氣出づ.
故に刺法に曰はく.始めて之を淺く刺す.以って邪氣を逐い而して血氣來る.
後に刺す之を深くす.以って陰氣之邪を到す.
最後に極深之を刺す.以って穀氣を下る.此れ之謂なり也.
故に用鍼を用いる者.年之加わる所を知らず.氣之盛衰.虚實之起こる所.
以って工と為るべからざるなり也.
凡刺有五.以應五藏.
一曰半刺.半刺者.淺内而疾發鍼.無鍼傷肉.如拔毛状.以取皮氣.此肺之應也.
二曰豹文刺.豹文刺者.左右前後鍼之.中脉爲故.以取經絡之血者.此心之應也.
三曰關刺.關刺者.直刺左右盡筋上.以取筋痺.愼無出血.此肝之應也.或曰淵刺.一曰豈刺.
四曰合谷刺.合谷刺者.左右雞足.鍼于分肉之間.以取肌痺.此脾之應也.
五曰輸刺.輸刺者.直入直出.深内之至骨.以取骨痺.此腎之應也.
凡そ刺す五有り.以って五藏に應ず.
一曰はく半刺.半刺とは者.淺く内れて而して疾く鍼を發す.鍼肉を傷ること無し.
毛状を抜く如し.以って皮氣を取る.此れ肺之應なり也.
二曰はく豹文刺.豹文刺とは者.左右前後之に鍼す.脉に中るを故と為す.
以って經絡之血を取るとは者.此れ心之應なり也.
三曰はく關刺.關刺とは者.左右を直刺し筋上を尽くし.以って筋痺を取る.
愼んで血出すこと無し.此れ肝之應なり也.或は曰はく淵刺.一曰はく豈刺(カイシ).
四曰はく合谷刺.合谷刺とは者.左右に雞足.分肉之間に鍼し.
以って肌痺を取る.此れ脾之應なり也.
五曰輸刺.輸刺とは者.直入直出.深く之を内れて骨に至る.
以って骨痺を取る.此れ腎之應なり也.
まとめ
鍼の刺す方法について説明されています。
霊枢または鍼経の「官鍼第七」について説明してきました。
第一~三までは五行穴について説明されています。
第4は陰経・藏について説明されています。
第5は陽経について説明されています。
第6は視診予後、陰陽について説明されています。
第7は鍼の運用の仕方です。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
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