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尼崎で東洋医学南整体院をやっている南です。
本日は、鍼灸の聖典、霊枢または鍼経邪氣藏府病形 第四 後編です。
本日も最後までがんばっていきましょう。
鍼灸の聖典、霊枢または鍼経邪氣藏府病形 第四 後編
黄帝曰.請問脉之緩急小大滑濇之病形何如.
岐伯曰.
臣請言五藏之病變也.
心脉急甚者.爲瘈瘲※.微急.爲心痛引背.食不下.
緩甚.爲狂笑.微緩.爲伏梁在心下.上下行.時唾血.
大甚.爲喉吤.微大.爲心痺引背.善涙出.小甚.爲善噦.微小.爲消癉.
滑甚.爲善渇.微滑.爲心疝引臍.小腹鳴.濇甚.爲瘖.微濇.爲血溢.維厥.耳鳴.顛疾.
黄帝曰はく.請う脉の緩急小大滑濇之病形いかんと問う.岐伯曰はく.
臣請う言五藏之病變を言わん也.
心脉の急甚だしき者.瘈瘲となす※.微かに急.心痛と為す背に引き.食下らず.
緩甚だしきは.狂笑と為す.微かに緩.伏梁を為すは心下に在り.上下行.時に唾血す.
大甚だしきは.喉吤と為す.微かに大.心痺と為す背に引く.善く涙出る.小甚だしきは.
善く噦を為す.微かに小.消癉と為す.
滑甚だしきは.善く渇くと為す.微滑は.心疝と為す臍に引く.小腹鳴る.
濇甚だしきは.瘖と為す.微濇とは.血溢.維厥.耳鳴.顛疾と為す.
※瘈瘲とはケイショウ。瘈とは強直性痙攣。瘲とは、弛緩性痙攣。合わせて間代性痙攣。
唾血(ダケツ)=痰に血が交じる。
伏梁(フクリョウ)=「素問」腹中論第四十「少腹に盛り上がるもの有り、上下左右に皆根あり、此れを何の病と為すか、曰く、病は名づけて伏梁と曰う」
喉吤(コウカイ)=のどがつまること。
噦(エツ)=しゃっくり。
消癉(しょうたん)= 糖尿病。消渇(ショウカチ)。脾癉(ヒタン)
小腹(ショウフク)=下腹
瘖(イン)=声がでない。.
血溢(イッケツ)=出血が起きること。
顛疾(テンシツ)=「倒れる病」
維厥(イケツ)=手足が萎えて厥(冷えなどの症状)となる。
肺脉急甚.爲癲疾.微急.
爲肺寒熱.怠惰.欬唾血.引腰背胸.若鼻息肉不通.
緩甚.爲多汗.微緩.爲痿瘻.偏風頭以下汗出不可止.
大甚.爲脛腫.微大.爲肺痺引胸背.起惡日光.
小甚.爲泄.微小.爲消癉.滑甚.爲息賁上氣.微滑.爲上下出血.
濇甚.爲嘔血.微濇.爲鼠瘻在頚支腋之間.下不勝其上.其應善痠矣.
肺脉急甚だしきは.癲疾と為す.微急は.肺寒熱と為す.怠惰.欬し唾血す.
腰背胸に引く.若しくは鼻に息肉ありて通ぜず.
緩甚だしきは.多汗と為す.微緩.痿瘻.偏風と為す頭以下汗出て止むべからず.
大甚だしきは.脛腫と為す.微大.肺痺胸背に引くと為す.起きれば日光を悪む.
小甚だしきは.泄と為す.微小.消癉と為す.滑甚だしきは.息賁上氣と為す.微滑.上下出血と為す.
濇甚だしきは.嘔血と為す.微濇.鼠瘻と為す頚と支腋之間に在り.
下、其の上に勝たず.其の應は善く痠す矣.
※欬(カイ)=咳
鼻に息肉=ポリープ、鼻茸。
痿(イ)=力がなくなる。なえる。瘻(イロウ)=コブ。はれもの
息賁(ソクフン)=吹き出すこと。
嘔血(オウケツ)=血を吐くこと。吐血。
鼠瘻(ソロウ)=瘰癧。結核性リンパ腺炎
瘰癧(ルイレキ)は肺結核を原病とする頸部リンパ節の腫粒で、頸部から腋下に数珠つなぎになった豆状腫として現れる。
痠(さん)=だる痛み。
肝脉急甚者.
爲惡言.微急.爲肥氣在脇下.若覆杯.
緩甚.爲善嘔.微緩.爲水瘕痺也.
大甚.爲内癰.善嘔衄.微大.爲肝痺.陰縮.欬引小腹.
小甚.爲多飮.微小.爲消癉.
滑甚.爲㿉疝.微滑.爲遺溺.濇甚.爲溢飮.微濇.爲瘈攣筋痺.
肝脉急甚だしきは者.
惡言と為す.微急.肥氣と為す脇下に在り.覆杯の若し.
緩甚だしき.善く嘔を為す.微緩.水瘕痺と為す也.
大甚だしき.内癰と為す.善く嘔き衄す.微大.肝痺と為す.陰縮.欬小腹を引く.
小甚だしきは.多飮を為す.微小.消癉と為す.
滑甚だしきは.躰疝と為す.微滑.遺溺と為す.濇甚だしきは.
溢飮と為す.微濇.瘈攣筋痺と為す.
※水瘕痺(スイカヒ)=瘕は腹部の腫瘤。子宮筋腫、子宮がん、卵巣腫瘤、卵巣がん、
水は水症であり、浮腫。痺は血痺なら血液の流れた悪い。肝痺れなら、肝臓
善く嘔き衄す=嘔きくじける
㿉疝(タイセン)テイ 疝=下腹部が痛む病気。鼠径ヘルニア。
脾脉急甚.
爲瘈瘲.微急.爲膈中.食飮入而還出後沃沫.
緩甚.爲痿厥.微緩.爲風痿.四肢不用.心慧然若無病.
大甚.爲撃仆.微大.爲疝氣.腹裏大.膿血在腸胃之外.
小甚.爲寒熱.微小.爲消癉.
滑甚.爲躰癃.微滑.爲蟲毒蛕蝎腹熱.
濇甚.爲腸躰.微濇.爲内躰.多下膿血.
脾脉急甚だしきは.瘈瘲と為す.微急.膈中と為す.
食飮入りて而して還って出る後に沃沫す.
緩甚だしきは.痿厥と為す.微緩.風痿と為す.四肢用いず.心慧然として病無きが若し.
大甚だしきは.撃仆と為す.微大.疝氣と為す.腹裏大.膿血腸胃之外に在り.
小甚だしきは.寒熱と為す.微小.消癉と為す.
滑甚だしきは.㿉癃と為す.微滑.爲蟲毒蛕蝎と為す腹熱.
濇甚だしきは.腸躰と為す.微濇.内躰と為す.多く膿血を下す.
※瘈瘲(ケイジュウ)=ケイは筋肉の痙攣。ジュウは筋肉の弛緩。
沃沫(ヨクマツ)=尻からベトベトした飛沫状のもを出す。沃は水で濡らして柔らかくすること。沫は細かい水しぶき。
痿厥=あしなえ。足の冷えから脳卒中など。
心慧然(シンケイゼン)
撃仆(ゲキボク)==打撃を受けたように卒に倒れること。
㿉癃(カイリュウ)=体が衰弱して病気しがちである。排尿できない病気。潰瘤=潰瘍の意味と丸い塊を作る病気。
蛕蝎(カイカツ)=蛔虫であり、蝎=キクイ虫。またはさそり。
蟲毒(チュウトク)は虫の毒。
腎脉急甚※.
爲骨癲疾.微急.爲沈厥.奔豚.足不收.不得前後.
緩甚.爲折脊.微緩.爲洞.洞者.食不化.下嗌還出.
大甚.爲陰痿.微大.爲石水.起臍已下.至小腹腄腄然.上至胃脘※.死不治.
小甚.爲洞泄.微小.爲消癉.滑甚.爲癃㿉.微滑.爲骨痿.坐不能起.起則目無所見※.
濇甚爲大癰.微濇.爲不月沈痔.
腎脉急甚だしいものは※.
骨癲疾と為す.微急.沈厥と為す.奔豚.足收まらず.前後得ず.
緩甚.折脊と為す.微緩.洞と為す.洞とは者.食化せず.嗌下って還た出づ.
大甚だしきは.陰痿と為す.微大.石水と為す.臍已下より起こり.至小腹に至り腄腄然たり.
上って胃脘に至って※.死して治せず.
小甚だしきは.洞泄と為り.微小.消癉と為す.滑甚.癃㿉と為す.微滑.骨痿と為す.坐って起きること能わず.
起きて則ち目見る所無し※.
濇甚だしきは大癰と為す.微濇.不月沈痔と為す.
※沈厥(チンケツ)下肢の血行障害のため、沈重、寒冷で歩けない状態。
下腹から臍、心下にかけて衝撃が突き上げてくる病症。歩行が障害され、大小便不通となる。
洞(トウ)=消化不良で下痢をする病症。食べるとすぐ排泄する。
陰痿(インイ)=勃起不全。
嗌(イツ)=溢れる。のど。
石水(セキスイ)=
『素問』陰陽別論第7に「石水、少腹腫」とある。
水張第57に「膚腸、鼓腸、腸タン、石か、石水は何を以って之を分かつか」
腹水をともなう子宮、卵巣の癌であろうか、石は硬い腫瘤を意味する。
腄腄=ツイツイ。甲乙經第4巻 垂垂
洞泄(ドウセツ)=
癃㿉(リュウカイ)=陰嚢、鼠径ヘルニア、骨い。
大癰(タイヨウ)=皮膚の大きい化膿。
不月沈痔=月経不順、内痔核
黄帝曰.病之六變者.刺之奈何.
岐伯荅曰.諸急者.多寒.緩者.多熱.大者.多氣少血.小者.血氣皆少.
滑者.陽氣盛.微有熱.濇者.多血少氣.微有寒.是故刺急者.深内而久留之.
刺緩者.淺内而疾發鍼.以去其熱.刺大者.微寫其氣.無出其血.
刺滑者.疾發鍼而淺内之.以寫其陽氣.而去其熱.
刺濇者.必中其脉.隨其逆順而久留之.必先按而循之.已發鍼.疾按其痏.無令其血出.以和其脉.
諸小者.陰陽形氣倶不足.勿取以鍼.而調以甘藥也.
黄帝曰はく.病の六變とは者.之を刺すいかん.
岐伯荅えて曰はく.諸急とは者.多寒.緩とは者.多熱.大とは者.多氣少血.
小とは者.血氣皆少.
滑とは者.陽氣盛.微かに熱有り.濇とは者.多血少氣.微かに寒有り.
是の故に刺急を刺すとは者.深く内れて而して久しく之を留む.
刺緩とは者.淺内れて而して疾く鍼を發す.以って其の熱を去る.大を刺すものは者.
其の氣を微かに寫し.其の血を出すこと無し.
滑を刺すは者.疾く鍼を發して而して淺く之を内れる.以って其陽氣を寫す.
而して其の熱を去る.
濇を刺すとは者.必ず其の脉に中てる.其の逆順に隨って而して久しく之を留む.
必ず先ず按じて而して之を循らす.已に鍼を發し.疾く其痏を按ず.無令其の血出さんとすること無し.
以って其脉を和す.
諸小とは者.陰陽形氣倶に不足し.以って鍼を取ることなかれ.而して甘藥をもって調えるなり也.
黄帝曰.余聞五藏六府之氣.
滎輸所入爲合.令何道從入.入安連過.願聞其故.
岐伯荅曰.此陽脉之別入于内.屬於府者也.黄帝曰.滎輸與合.各有名乎.
岐伯荅曰.滎輸治外經.合治内府.黄帝曰.治内府奈何.岐伯曰.取之於合.
黄帝曰.合各有名乎.岐伯荅曰.胃合於三里.大腸合入于巨虚上廉.小腸合入于巨虚下廉.
三焦合入于委陽.膀胱合入于委中央.膽合入于陽陵泉.黄帝曰.取之奈何.岐伯荅曰.
取之三里者.低跗取之.巨虚者.擧足取之.委陽者.屈伸而索之.
委中者.屈而取之.陽陵泉者.正竪膝.予之齊.下至委陽之陽取之.
取諸外經者.揄申而從之.黄帝曰.願聞六府之病.
黄帝曰はく.余五藏六府之氣を聞く.
滎輸入る所を合と為す.令何の道從り入らしめ.入りて安こに連過するか.願わくは其の故を聞かん.
岐伯荅えて曰はく.此れ陽脉の別にして内に入り.府に屬する者なり也.黄帝曰はく.滎輸と與する合.各々名有るか乎.
岐伯荅えて曰はく.滎輸外經を治す.合は内府を治す.黄帝曰はく.内府を治すいかん.
岐伯曰はく.之を合に取る.
黄帝曰はく.合各々名有るか乎.岐伯荅えて曰はく.胃の合は三里.大腸の合は巨虚上廉入る.
小腸合は巨虚下廉に入る.
三焦合は委陽に入る.膀胱合委中央に入る.膽合は陽陵泉に入る.黄帝曰はく.之を取るいかん.
岐伯荅えて曰はく.
之三里を取るもの者.跗を低くし之を取る.巨虚は者.足を擧げて之を取る.
委陽は者.屈伸して而して之を索む.
委中は者.屈して而して之を取る.陽陵泉は者.正に膝を竪てて.之を予し齊しく.
下って委陽之陽に至って之を取る.
諸外經を取るもの者.揄申して而して之に從う.黄帝曰はく.願わくは六府之病を聞かん
※滎輸(ケイシュ)
岐伯荅曰.面熱者.
足陽明病.魚絡血者.手陽明病.兩跗之上脉竪陷者.足陽明病.此胃脉也.
大腸病者.腸中切痛.而鳴濯濯.冬曰重感于寒.即泄.當臍而痛.不能久立.與胃同候.取巨虚上廉.
胃病者.腹昔脹.胃脘當心而痛.上支兩脇※.膈咽不通.食飮不下.取之三里也.
小腸病者.小腹痛.腰脊控睾而痛.時窘之後.當耳前熱.若寒甚.若獨肩上熱甚.及手小指次指之間熱.
若脉陷者.此其候也.手太陽病也.取之巨虚下廉.三焦病者.腹氣滿.小腹尤堅.不得小便.窘急.溢則水.
留即爲脹.候在足太陽之外大絡.大絡在太陽少陽之間.亦見于脉.取委陽.
膀胱病者.小腹偏腫而痛※.以手按之.即欲小便而不得.肩上熱.若脉陷.及足小指外廉及脛踝後皆熱.若脉陷.取委中央.
膽病者.善大息.口苦嘔宿汁.心下澹澹.恐人將捕之.嗌中吤吤然數唾.在足少陽之本末.亦視其脉之陷下者灸之.其寒熱者.取陽陵泉.
岐伯荅えて曰はく.面熱とは者.
足陽明病.魚絡血とは者.手陽明病.兩跗の上の脉竪陷なるは者.足陽明病.此れ胃脉也.
大腸病者.腸中切痛し.而して鳴ること濯濯.冬の曰に重く寒を感ず.即ち泄す.臍に當って而して痛む.
久しく立こと能わず.與胃と候を同じくす.巨虚上廉に取る.
胃病者.腹䐜脹し.胃脘心に當たって而して痛む.上は兩脇支え※.膈咽通ぜず.食飮下らず.
之三里に取る也.
小腸病とは者.小腹痛.腰脊睾に控いて而して痛む.時窘する之後.耳に當って前熱す.若しくは寒甚だしきは.
若しくは獨り肩の上熱す甚だしきは.手小指次指之間及んで熱す.
若しくは脉陷するもの者.此れ其の候なり也.手太陽病也.之巨虚下廉取る.
三焦病とは者.腹氣滿ち.小腹尤も堅く.小便を得ず.窘急す.溢れるは則ち水と為す.
留まれば即ち脹と為す.候は足太陽之外大絡に在り.大絡は太陽少陽之間に在り.
亦た于脉を見る.委陽を取る.
膀胱病とは者.小腹偏に脹って而痛む.手を以って之を按じ.即ち小便を欲して而して得ず.肩上熱し.若しくは脉陷なり.
及び足小指外廉及び脛踝後皆熱す.若しくは脉陷なり.委中央に取る.
膽病とは者.善く大息し.口苦く宿汁を嘔く.心下澹澹.
人の將に之を捕らえんとするを恐る.嗌の中吤吤然として數々唾す.
足少陽之本末に在り.亦た其の脉之陷下するものを視て之に灸す.
其の寒熱とは者.陽陵泉を取る.
※濯濯(タクタク)
䐜脹(シンチョウ)=腹が張って膨満する。
窘(クン)=きんする
澹澹(タンタン)=ドキドキ
吤(カイ)のどに挟まって塞がれた状態。
黄帝曰.刺之有道乎.岐伯荅曰.
刺此者.必中氣穴.無中肉節.中氣穴.則鍼染于巷.中肉節.即皮膚痛.
補寫反.則病益篤.中筋則筋緩.邪氣不出.與其眞相搏.亂而不去.反還内著.用鍼不審.以順爲逆也.
黄帝曰はく.之を刺す道有りや乎.岐伯荅えて曰はく.
此れを刺すもの者.必ず氣穴に中てる.肉節中てること無し.氣穴中てる.則ち鍼は巷に染む.肉節中る.即し皮膚痛む.
補寫反って.則ち病益ます篤し.筋に中る則ち筋緩む.邪氣出ず.其の眞と相搏つ.亂れて而して去らず.
反って還って内に著く.鍼を用いること不審なれば.順を以って逆と為す也.
則鍼染于巷=染=游とはあちこち歩き回ること。鍼を自在に運用すること。
まとめ
鍼灸の聖典、霊枢または鍼経邪氣藏府病形 第四 後編について
説明してきました。
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本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
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