こんにちは。
尼崎で東洋医学南整体院をやっている南です。
本日は、根結第5です。
霊枢または鍼経です。
鍼経は鍼灸の中でも最高峰の聖典であり、鍼をするにおいて
最初に研究するものであると思われるます。
ただ、最初の方にはとてもハードルが高く、臨床に繋がりにくいところが
あります。
昔に比べて、刺激が事態がどんどん変化し、今の時代では軽い接触鍼が流行って
います。
日本には独自の鍼灸の発展があり、効果を重きを置くのか、患者に合わせて
施術をするのかで大分変わってきます。
患者に合わせて施術をするとで、鍼灸における診断がだんだんと曖昧に
なってきます。
体質において、陰陽があり、病症に対して陰陽があり、其の弁別した
ものに対して鍼灸施術があります。
ここに患者満足度という陰陽はありません。
鍼灸をすることで、迷いが生じるのは、ここのところです。
最近の流行りの接触鍼は、患者満足度に偏ったものであり、
病症に対しての陰陽ではありません。
ここの間違いは、鍼経を読み込み、臨床にまで使えるまで
高めることで、打破することができます。
しかし、ここまで来るまでに大変です。
なぜなら、楽して早く効果があるものを追求しがちなところが
あります。
そして、東洋医学深く学ぶまでに、西洋医学的思想が、余計に東洋医学への理解を
妨げることになります。
そのことに、気付き本当の鍼灸の可能性に気づく必要があります。
それでは、始めていきましょう。
前回が陰経ならびに藏を中心に書かれていました。
今回は主に、陽経に対して書かれています。
◆根結第五.
岐伯曰.
天地相感.寒暖相移.陰陽之道.孰少孰多.
陰道偶.陽道奇.
發于春夏.陰氣少.陽氣多.陰陽不調.何補何寫.
發于秋冬.陽氣少陰氣多.陰氣盛而陽氣衰.故莖葉枯槁.濕雨下歸.陰陽相移.何寫何補.
奇邪離經.不可勝數.不知根結.五藏六府.折關敗樞.開闔而走.陰陽大失.不可復取.
九鍼之玄.要在終始.故能知終始.一言而畢.不知終始.鍼道咸絶.
岐伯曰はく.
天地相感じ.寒暖相い移る.陰陽之道.孰れか少なく孰れか多き.
陰道偶にして.陽道は奇なり.
春夏に發する.陰氣少なし.陽氣多い.陰陽不調.何をか補い何をか寫する.
秋冬に發する.陽氣少なし陰氣多い.陰氣盛にして而して陽氣衰う.
故に莖葉枯槁し.濕雨下歸す.陰陽相い移る.何をか寫し何をか補う.
奇邪離經.數うるに勝つべからず.根結を知らず.五藏六府.
關を折り樞を敗り.開闔して而して走る.陰陽大いに失して.復た取るべからず.
九鍼の玄.要は終始に在り.故に能く終始を知れば.一言に而して畢る.
終始を知らず.鍼道咸な絶えん.
太陽.根于至陰.結于命門.命門者目也.
陽明.根于厲兌.結于顙大.顙大者.鉗耳也.
少陽.根于竅陰.結于窓蘢.窓蘢者.耳中也.
太陽爲開.陽明爲闔.少陽爲樞.故開折.則肉節涜.而暴病起矣.
故暴病者.取之太陽.視有餘不足.涜者.皮肉宛膲而弱也.
闔折.則氣無所止息.而痿疾起矣.
故痿疾者.取之陽明.視有餘不足.無所止息者.眞氣稽留.邪氣居之也.
樞折.即骨繇而不安於地.故骨繇者.取之少陽.視有餘不足.骨繇者.節緩而不收也.
所謂骨繇者.搖故也.當窮其本也.
太陽.至陰を根とし.命門を結とす.命門とは者目なり也.
陽明.厲兌を根とし.顙大を結とす.顙大とは者.鉗耳なり也.
少陽.竅陰を根とし.窓蘢を結とす.鉗耳とは者.耳の中なり也.
太陽開と為す.陽明闔と為す.少陽樞と為す.
故に開折れる.則ち肉節涜して.而して暴病起こる矣.
故に暴病とは者.之太陽を取る.有餘不足を視る.涜とは者.
皮肉宛膲して而して弱まるなり也.
闔折れるときは.則ち氣の止息所無し.而して痿疾起こる矣.
故に痿疾とは者.之陽明に取る.有餘不足を視て.止息する所無しとは者.
眞氣稽留して.邪氣之に居るなり也.
樞折れるときは.即ち骨繇らいで而して地に安んぜず.故に骨繇とは者.
之少陽に取る.有餘不足を視て.骨繇と者.節緩んで而して收らざるなり也.
所謂骨繇とは者.搖らぐが故なり也.當に其の本を窮むべし也.
※鉗耳(ケンジ)=鉗=かなばさみ。耳をはさむこと。カセをはめたようなので鉗耳という。
顙(ソウ)=ひたい。大で 頭維。
窓蘢(ソウロウ)=耳の聴宮穴のこと。
宛膲(エンショウ)=宛は周囲が高く中央が凹んでいること。
膲は焦に通じる。焦は鳥が火にあぶられてチリチリと縮まる。
皮膚や筋肉が炎症(焦)を起こして盛り上がることである。
闔(コウ)=
暴病(ボウビョウ)=急性病。
痿疾(イシツ)=下肢の力が衰えて歩きにくくなること。
止息(シソク)=局所にとどまること。
太陰.根于隱白.結于大倉.
少陰.根于湧泉.結于廉泉.
厥陰.根于大敦.結于玉英.絡于膻中.
太陰爲開.厥陰爲闔.少陰爲樞.
故開折.則倉廩無所輸.膈洞.膈洞者.取之太陰.視有餘不足.
故開折者.氣不足而生病也.
闔折.即氣絶而喜悲.悲者.取之厥陰.視有餘不足.
樞折.則脉有所結而不通.不通者.取之少陰.視有餘不足.有結者.皆取之不足.
足太陽.根于至陰.溜于京骨.注于崑崙.入于天柱飛揚也.
足少陽.根于竅陰.溜于丘墟.注于陽輔.入于天容光明也.
足陽明.根于厲兌.溜于衝陽.注于下陵.入于人迎豐隆也.
手太陽.根于少澤.溜于陽谷.注于少海.入于天窓支正也.
手少陽.根于關衝.溜于陽池.注于支溝.入于天牖外關也.
手陽明.根于商陽.溜于合谷.注于陽谿.入于扶突偏歴也.
此所謂十二經者.盛絡皆當取之.
太陰.隱白を根.大倉を結とし.少陰.湧泉を根.廉泉を結.
厥陰.大敦を根とし.玉英を結.膻中を絡む.
太陰を開と為す.厥陰を闔と為す.少陰を樞と為す.
故に開折れるは.則ち倉廩輸する所無く.膈洞す.
膈洞とは者.之太陰を取る.有餘不足を視る.
故に開折れるは者.氣不足す而して病生きるなり也.
闔折れる.即ち氣絶す而して喜く悲す.悲とは者.之厥陰取る.有餘不足視る.
樞折れる.則ち脈に結する所有り而して通ぜず.不通とは者.之少陰に取る.
有餘不足を視て.結有りとは者.皆之不足を取る.
足太陽.至陰を根とし.京骨に溜す.崑崙に注す.天柱飛揚に入るなり也.
足少陽.竅陰を根とし.丘墟に溜す.陽輔に注す.天容光明に入るなり也.
足陽明.厲兌を根とし.衝陽に溜す.下陵に注す.人迎豐隆に入るなり也.
手太陽.少澤を根とし.陽谷に溜し.少海に注す.天窓支正に入るなり也.
手少陽.關衝を根とし.陽池に溜す.支溝に注す.天牖外關に入るなり也.
手陽明.商陽を根とし.合谷に溜す.陽谿に注す.扶突偏歴に入るなり也.
此れ所謂十二經とは者.絡盛んなるは皆な當に之を取るべし.
※膈洞(カクトウ)=飲食物の通過障害。
洞=完穀下痢。消化さらないまま排泄される。
一日一夜五十營.以營五藏之精.不應數者.名曰狂生.
所謂五十營者.五藏皆受氣.
持其脉口.數其至也.五十動而不一代者.五藏皆受氣.
四十動一代者.一藏無氣.
三十動一代者.二藏無氣.
二十動一代者.三藏無氣.
十動一代者.四藏無氣.
不滿十動一代者.五藏無氣.
予之短期※.要在終始.
所謂五十動而不一代者.以爲常也.以知五藏之期.
予之短期者※.乍數乍疏也.
一日一夜五十營り.以って五藏之精を營す.數に応ぜざるは者.
名づけて狂生と曰う.所謂五十營らすとは者.五藏皆氣を受く.
其の脉口を持ちて.其の至るを數うるなり也.五十動に而して一代もせざる者.
五藏皆気を受く.
四十動一代する者.一藏に気無し.三十動一たび代するとは者.二藏に気無し.
二十動一たび代するとは者.三藏に気無し.十動一たび代するとは者.四藏に気無し.
十動に満たずして一代するとは者.五藏気無し.
之に短期を予う※.要終始に在り.所謂五十動にして而して一代せず者.
以って常と為す也.以って五藏之期を知る.
之に短期を予える者※.乍ち數乍ち疏なり也.
黄帝曰.逆順五體者.言人骨節之小大.
肉之堅脆.皮之厚薄.血之清濁.氣之滑濇.脉之長短.血之多少.經絡之數.余已知之矣.
此皆布衣匹夫之士也.
夫王公大人.血食之君.身體柔脆.肌肉軟弱.血氣慓悍滑利.其刺之徐疾淺深多少.可得同之乎.
岐伯荅曰.
膏梁菽藿之味.何可同也.
氣滑即出疾.其氣濇則出遲.氣悍則鍼小而入淺.氣濇則鍼大而入深.深則欲留.淺則欲疾.
以此觀之.刺布衣者.深以留之.刺大人者.微以徐之.此皆因氣慓悍滑利也.
黄帝曰はく.逆順五體とは者.人骨節之小大.
肉之堅脆.皮之厚薄.血之清濁.氣之滑濇.脉之長短.血之多少.經絡之數を言う.
余は已に之を知れり矣.
此れ皆な布衣匹夫の士なり也.夫れ王公大人.血食び君.身體柔脆.肌肉軟弱.
血氣慓悍滑利なり.其れ之を刺す徐疾淺深多少.之を同じく得べけんや乎.
岐伯荅えて曰はく.
膏梁菽藿の味.何ぞ同じくす可けんや也.
氣滑は即疾出す.其の氣濇則ち遲く出す.氣悍は則ち鍼小さく而して淺く入る.氣濇は則ち
鍼大にして而して深く入れる.深く則ち留めるを欲す.淺く則ち疾を欲す.
此れを以って之を觀る.布衣を刺すは者.深く以って之を留める.
大人刺すとは者.微しく以って之を徐にす.此れ皆氣の慓悍滑利に因るなり也.
※
膏梁(コウリョウ)菽藿(シュウカク)の味、=膏は脂身の内。梁(リョウ)=おおあわ
北中国の主食であり、おいしいご馳走を意味する。
菽は豆類。蕾は豆の葉、いずれも粗末な食べ物。
氣悍則鍼小而入淺=氣滑則鍼小而入淺
黄帝曰.形氣之逆順奈何.
岐伯曰.
形氣不足.病氣有餘.是邪勝也.急寫之.
形氣有餘.病氣不足.急補之.
形氣不足.病氣不足.此陰陽氣倶不足也.不可刺之.
刺之則重不足.重不足.則陰陽倶竭.血氣皆盡.五藏空虚.筋骨髓枯.老者絶滅.壯者不復矣.
形氣有餘.病氣有餘.此謂陰陽倶有餘也.急寫其邪.調其虚實.
故曰.有餘者寫之.不足者補之.此之謂也.
黄帝曰はく.形氣の逆順はいかん.岐伯曰はく.
形氣不足す.病氣餘り有り.是れ邪勝つなり也.
急いで之を寫す.
形氣餘り有り.病氣不足す.急いで之を補う.
形氣不足し.病氣不足す.此れ陰陽の氣倶に不足するなり也.
刺之を刺すべからず.之を刺すは則ち重く不足す.
重く不足す.則ち陰陽倶に竭きる.血氣皆な盡き.五藏空虚.筋骨髓枯る.
老は者絶滅す.壯は者復せず矣.
形氣有餘.病氣有餘.此れ謂陰陽倶に有餘なり也.
急いで其の邪を寫す.其の虚實を調える.
故に曰はく.有餘は者之を寫し.不足は者之を補う.此れ之謂なり也
故曰.刺不知逆順.眞邪相搏.滿而補之.
則陰陽四溢.腸胃充郭.肝肺内昔.陰陽相錯.
虚而寫之.則經脉空虚.血氣竭枯.腸胃書辟.皮膚薄著.毛腠夭膲.予之死期※.
故曰.用鍼之要在于知調陰與陽.調陰與陽.精氣乃光.合形與氣.使神内藏.
故曰.上工平氣.中工亂脉.下工絶氣危生.故曰下工.不可不愼也.
必審五藏變化之病.五脉之應.經絡之實虚.皮之柔麤.而後取之也.
故に曰はく.刺すは逆順を知らず.眞邪相搏つ.滿て而して之を補う.
則ち陰陽四に溢れ.腸胃は充郭す.肝肺は内䐜し.陰陽相い錯す.
虚して而して之を寫す.則ち經脉空虚なり.血氣は竭枯し.腸胃は懾辟す.
皮膚は薄著し.毛腠は夭膲す.之に死期を予う※.
故に曰はく.用鍼の要は陰與陽を調えるを知るに在り.陰與陽を調える.
精氣乃ち光り.合形與氣を合し.神をして内藏せしむ.
故に曰はく.上工は氣を平らにす.中工は脉を亂す.下工は気を絶やし生を危うくす.
故に曰はく下工.愼まざるべからず也.
必ず審五藏變化の病.五脉の應.經絡の實虚.皮の柔麤を審らかにし.
而して後之を取るなり也.
※懾辟(ショウヘキ)懾とは恐れること。おじける意。辟横にさけること。
胃の働きが悪くなり、腸が侵されて下痢すると。
まとめ
霊枢または鍼經である根結第五について説明してきました。
古典を研究することは、奥深い発見があり、新たな発見があります。
古いものと捨てがちですが、基本的思想があります。
鍼経の第1~3で基本的な鍼治療と五行穴について説明されています。
鍼経邪氣藏府病形 第四が五臓を中心に説明されたものであり、
根結第5は陽経について説明されています。
陽経の鍼灸の方法が説明されています。
今回も改めていろいろな発見がありました。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
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